山下

追いかけて重なって

08/02/2021

小さな庭が、まいにちほんの少しづつ片付いていって

繰り返し外にでて

繰り返し陽のヒカリを臨むたびに

苦手な記憶の重複が、綺麗な重なりを見せて

ちらばった何かが整列してゆく

草を取りながら歌い、正面から差し込む朝陽がいつまで涼しげか見つめて

そうやってわたしは、今がどのくらいの浅い朝かを知る

 

みんなが時計を見ながら電車に乗ったり

時間を見ながらご飯を食べたりする

そういう生き方ができなかった代わりに

 

わたしはずっと、一生けんめい世界を照らす光を見つめてきた

 

そこで得たものはきっとたくさんあって

自分がどんなふうに生きるかなんて

正解はきっと無い

 

大きな一角の草は、長く、硬く、抜けないものもたくさんあって

指がとても痛くなるけど

そういうのは、抜かなくても切ればいいよとりゅうじが教えてくれたことと、

ちょうちょの羽が落ちていて、怖くて拾えなかった週末

それを片付けてくれたから

 

今日はいつもよりも長く、朝外にいることができた。

 

ビタミンBが造られるから、日焼けを気にせず少しだけ外に出なさい

そう言われて

 

8月に入った瞬間の夕方に

呼吸が苦しくなるくらいの暑い外でふたり

ただ腰掛けて、その熱を感じた

 

生きることがとても苦手で難しいわたしに

身体の使い方や付き合い方、それをどうやって保つかを教えてくれる人

わたしに、生きることを教えてくれる人

 

ヨタヨタと、目をつぶりながら微かな光を追いかけて

風の音だけを頼りに生きてきた私に

力強く手を引いて、色鮮やかな世界を見せてくれる

 

 

昔からちょうちょが怖くて、絵や写真もダメだったんだけど

ちいさなハコニワの花に飛んでくる、白いちょうちょはかわいい。

 

どこか遠くへ飛んでいって、たまにきて欲しい。

 

並んで座れるように、外用のイスをもう一個買おうと思った。

 

 

 

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