タオ君が、2年ぶりに話したのに2週間ぶりくらいだね。
とそう言った。
わたしたちはいつもそういう関係で、ずっと何ヶ月も何年も音信不通でも、「来週帰ります」と突然実家に戻ってくるみたいに
あたりまえのように、いつもそこにいた。
昔わたしが潤をまだ恨んで忌み嫌っていた頃、ある日に「ずっと連絡取らなくても平気なの?」とい訊いたことがあって、その時彼は「うん。毎日君のことを考えるから、毎日一緒にいるみたいだから」と言っていて、当時は、コイツはアニメの中のアイドルと付き合ってる妄想の中で生きているとそう思っていた。
でも時を追うごとに、離れれば離れるほどに、私たちは強く繋がるようになっていて
最後は本当に、タオ君と毎日毎日潤の話をすることで、結局話しても会ってもいないのに
毎日会っているような、そんな気持ちだったのだ。
結局山梨で会えなかったことは、残念だったかと言えばそんなことは全然なかった。
色々な気づきがあって、ブツ切れのawkward な連絡じゃなくて、ちゃんと話すための電話で声が聴けて2年ぶりにちゃんと話したとき、その温かさやお互いを思う気持ちには
何も変わりがなかった。
外で戦っている彼はいつもどこか造りこまれた役目の虚像の自分の殻を被っていて、何を話しているのか全然わからないが、わたしがとても素直に気持ちを話す時の潤は、優しくて、温かくて、近い。
昔はその本当の繋がりが起こる度に、途切れることで強い混乱が起こって、愛が虚になったのだと思い辛い時間を過ごした。
でも電話口で、長い間そうやって同じように離れて戸惑って苦しんだから
これからは側にいるよと言ったわたしに対して、やっと潤もわたしも お互いを責めることのない、新しいフェーズに入ったのだと感じた。
連絡がつかなくなることで起こってきた辛い気持ちは、一緒にいれば消える。帰る場所にわたしがいれば、連絡をしなくても家に帰ればまいがいるから。
そう伝えた時の潤は、そっか、そうかもといった普通な様子だったけど、怖い時の潤の拒絶具合からいくと、受け入れる体制が整って来ている風が伝わってきた。
引っ越しはタイミングが大事で、そのことはまだ繰り返し話さないと伝わらないかもしれないけれど、ようやく側に行けるような感じがした日。
蒸し暑い夏の夕方
雨上がりの草むらで、西側の空を仰ぎながら電波の悪い途切れ途切れの声に耳を傾けて
潤もわたしも、一生懸命相手の声を拾おうとして、それはこの先何度電話が切れても
何度連絡が途切れても
一生切れることの無い、繋がりなのだと
そう感じた。
まいは潤君に会えないよ!
こんな遠いところにはもうこれない!
ちゃんとはっきりとそう伝えて、2人とも
その言葉が、ネガティヴなものじゃなくて
本当にそうなんだよね、
だから一緒にいるしかないんだよね
と感じられた気がする。
遠く疲れた旅。まだ始まってもいない旅。
大冒険が始まるんだ。
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