タオ君

#000 倒れたドミノと濡れた秋を思い出す、春の朝

04/17/2023

 

こんなふうに肌寒い春の濡れた朝は

いつも、南半球の雨寄りな冬へ向かう秋を、思い出す

 

雨が、降りそうで降らない、静かで曇った空と

大地がウルウルと喜んでいるのがヒシヒシと伝わってくるような、潤った緑の匂い

そんな場所をわたしはスローモーションでずっと闊歩し続けていた。

遠くに羊がちらほらと歩き、10匹に1匹くらいに牛が混じっていて、永遠に地平線まで緑が続く、そんな場所を歩きながらわたしはいろんな未来に想いを馳せた。

お腹には、まだ産まれてくる前の胎児がいて、わたしはずっと、独りだった。

 

 

あたたかな、家族を夢見ながら、その何もなくて空っぽで新しい土地で、幸せに暮らすんだ、とそう思ってたな。

 

あれから8年だか9年が経過して

今日ココは、日本の愛知県で、なんだかもう一度、ゆっくりとようやく、星空みたいに散らばった微かな記憶を

倒れたドミノを一個づつ起こすみたいにして、思い出してみたいんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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