こんなふうに肌寒い春の濡れた朝は
いつも、南半球の雨寄りな冬へ向かう秋を、思い出す
雨が、降りそうで降らない、静かで曇った空と
大地がウルウルと喜んでいるのがヒシヒシと伝わってくるような、潤った緑の匂い
そんな場所をわたしはスローモーションでずっと闊歩し続けていた。
遠くに羊がちらほらと歩き、10匹に1匹くらいに牛が混じっていて、永遠に地平線まで緑が続く、そんな場所を歩きながらわたしはいろんな未来に想いを馳せた。
お腹には、まだ産まれてくる前の胎児がいて、わたしはずっと、独りだった。
あたたかな、家族を夢見ながら、その何もなくて空っぽで新しい土地で、幸せに暮らすんだ、とそう思ってたな。
あれから8年だか9年が経過して
今日ココは、日本の愛知県で、なんだかもう一度、ゆっくりとようやく、星空みたいに散らばった微かな記憶を
倒れたドミノを一個づつ起こすみたいにして、思い出してみたいんだ。
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