なおちゃんが来てくれて、この数ヶ月のことと、潤君の話をした。
最初のころから、おなじ敷地に住んでいたなおちゃんに、出会えたことは本当に本当に幸せなことだった。
そう思うような短い時間に、山梨に行くかもしれないこと、一生懸命中央市に電話して、引越しについて進めようとがんばったこと、今までずっと、潤君と一緒にいられるためにがんばってきたことも
なおちゃんはただ、知っていて、スムーズにいくように力になってくれるところも、引っ越して半年経った今も、なにも変わっていなかった。
引越ししようとがんばった期間に、誰にも助けてもらえなかった辛い時間や、それでもずっと、行き先を見失わぬように、必死で繋いできたこと
連絡が取れないことや、特性のこと
この流れに乗らなきゃダメだよ!と必死になってくれたなおちゃんが、背中を押してくれて、自分が間違いない場所に向かおうとしているのが、ようやく誰かの言葉で初めて実感できた気がした。
なおちゃんがいてくれて、本当によかったとそう思った日
「2、3年なんて、そんなふうにしてる間に何があるかわかんないんだよ!?」鼻息を荒くして、怒ってくれたなおちゃんのおかげで、たった独りで潤のところに向かおうとしていた心に、小さな舟に、灯りを灯してもらったような気持ちになった。
ほんとうは、嬉しい報告としていつか、「潤君のところに行けることになったよ」と笑顔で言いにいく日を待ちわびてたなおちゃん。
でも、ひとりで抱えられぬほどの怖い気持ちを、ただ受け止めて応援してくれるひとの存在が、どれほどありがたいことかと本当にそう感じた。
想像して怖くなって足踏みしてしまって、どんどん想像だけがふくらんでしまうときのあの恐ろしさは、同じだからよくわかると話してくれた。
ぱっと軽く手を引いてくれる人が勝手に決めていってくれるだけで、スッと進めると、なおちゃんの友達の話をしてくれて、本当に本当に心が楽になった。
怖いからやりたくない意志を、尊重するというのは
本当は尊重ではないこと
本人の希望を無視して無理やり進めるのとは全然違うこと
なおちゃんは本当にそのことをよく知ってた。
それが、ただ嬉しかった。
だからずっとずっとわたしのことを助けてくれてきて、同時にそれは潤への理解でもあったんだ。
わたしもそうであるように、タオ君が怖いからやりたがらない時に背中を押せる強さみたいなもの。
なおちゃんはそれを持っていて、話すと本当に心から愛に満たされてく。
タキのおばあちゃんに、山梨に行くかもしれない話をして、それが皆から祝福されて安心して見送ってもらえることのない心許なさや
誤解されてやめたほうがいいことを言われる辛さを
いやというほど味わってきたわたしたち
それでも一歩づつ、わたしはそこに向かうんだ。
なおちゃんに出会えてよかった。
嬉しい報告ができるように、前に進んでいこう。
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