家族のこと 思い出・むかしの記憶

はじめて3人でいった水族館と、イルカ

11/02/2021

October 2, 2021 のきろく

 

 

 

「ジュゴン・・・

ア~わかった、波動高いやつだわァ・・・」

 

山下さんのあったかくて大きな手に引かれ、カップルと家族連れで賑わう週末の水族館の人の間を縫って歩きながら
魚に見惚れては立ち止まり、目をまん丸くしたり笑ったり、ぼんやりつぶやくわたしに彼は小さく笑ってこう言った。

「水族館でジュゴンみて、波動たけえってコメントする人ってどんくらいいんだろな。」

 

その日は夢みたいに幸せな日で、晴れた秋の空の下で、わたしとタオくんはまさかの水族館にいて、そばには大きなリュックを背負った山下さんがいた。

家族で水族館に行ける日が、真っ暗で心細かった自分の人生の上に、ついにやってくるなんてと思った。

 

朝早く起きて照り焼きチキンを焼いて、サンドイッチを作って、みんなで一緒に食べて、手を繋いでもらって水族館の中を歩いた。

 

入場してすぐの大きなイルカの水槽の一部が、カーテンで覆われていて

「まもなく出産予定のイルカがいます」

と書いてあって、

ぼそっと「リアルだな」と言いながら横を通り過ぎて行った山下さんだった。

 

一刻一刻が幸せで、時が止まったみたいに明るくて、亀やらヒトデやらニモみたいなしましま模様の魚をひとおとり見て、水族館を一周したあとに最後イルカのショーのスタジアムに行った。

 

 

大きなスピーカーからエモーショナルな音楽がいっぱい流れてきて、それに合わせてイルカがぴょんぴょん飛び跳ねているのを見ていたら、涙がぽろぽろこぼれてきた。

こんなに幸せな日が自分にも訪れたんだと思って、ずっと雲の上を歩いているみたいに。

 

イルカのショーを見ている間に、

「さきほどイルカの赤ちゃんが無事に生まれました!」と放送が流れて、間近に迫るいのちの気配に圧倒された。

 

空は高く晴れて青く、水飛沫が光って、イルカはずっと無垢で健気で、海からきたそのダイナミックで清い生物の一生に、まるで共鳴するように震えて、

わたしもいまこの瞬間にでも、海に還っていくような気持ちがした。

 

 

愛に触れたときにただ訳もなく涙が流れてくる。

 

壮大な地球の向こう側や、海へと続いていく大地のことや、わたしたち人々が生きている世界よりももっともっと大きな自然の息吹に抱かれた1日。

 

イルカは愛だ。

 

また行きたいな。

 

山下さんがいつもわたしを愛へと帰してくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人生初のつくった照り焼きチキン。

 

 

 

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