そういえば切花を毎回お店で買っていたころに気づかなかったことがひとつある。
ガーデニングを始めて花を育てるようになって、やっと1年が経過したころ、ある日ハッとした。
それは、何気なくベランダの花を、部屋の中で飾るために切った瞬間のことだった。突然、花の生命が、切った瞬間に際立って立ち上がったのだ。
それはわたしにとって、とっても驚くくらい、色鮮やかで衝撃な体験だった。
なぜなら、土から栄養を取ってる花は生きながらえていて、それは切って部屋に入れた途端に枯れるし、水に挿したところでまもなく死に向かう運命。
花を切ることは、その生命を(ありがたく)奪う行為だとばかり思っていたので、まさかそのエネルギーがスプラッシュして弾けるのがまさか、切った瞬間だとは思っていなかったのだ。
それはさながら、人が死に直面すると、自分が生きていることをそれでやっと思い出したり、死に際に美しく生命の煌めきを見せてくれるの似ている。
ちなみにわたしが個人的に最も死に近かった瞬間はこれまで人生で何度もあったけれど、
それはどれも最後、全てわたしを生きる道へと繋いだ。
生と死は、もちろん隣り合わせだし、そこにいつも同時に存在していると思うけれど、パチンと花を切りとったときのそのスパークリングに弾ける生命への祝福みたいなものを、今は毎回楽しんでいる。
花を扱う仕事はきっと重労働に違いないけれど、きっととても鮮やかな、貴い生の感触がそこにあるんだろうと思うよね。
June 2020 MAI
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