地獄のような週になってしまい、結局最後に山下さんにSOSを出し駆けつけてもらう。
いろんな思いが交錯した。
あたたかさと、冷たさと、矛盾と、これ以上今はどうにもできない壁と。
それでも、誰もいない地獄と、理解していない誰かが側にいる地獄をはかりにかけたら、わたしはそれなら、彼に側にいてほしいと思った。
どうせ地獄なら、温もりがあるほうがいい。
どうせ地獄を生きるなら、何もない地獄よりも、愛する誰かがいる地獄がいい。
春にいのちを失いかけた、もう無理だと思うような時間が全て舞い戻ってきたような気がした。
助けてくれる人が誰もいなくなって、突然夜の海に放り投げられるような絶望と、
どこをどうみても助かる可能性が見えない中で泳ぐ時間
たすけてと何百回叫んでも、世界に届かない時間が、まだ続く。
それを伝えたときに、なんとかしようと一生懸命になってくれる数少ない人たちと
関わらないようにしようとする人たち、なんでもないことのようにスルーする人たち。
山下さんも、今刻々と、何が必要なのかを一緒に考え始めてくれているところだと思う。
いまは、休暇で頭を冷やすため、本来会いにきてもらう時間じゃなかった中で
駆けつけてくれた彼の腕や身体は、死ぬほど恋しかった数週間後に抱きしめると
今までよりもうんと近く、温かく、どこまでもほんもので
離れていた時間に大切さが増したみたいに、わたしはずっと離さずにくっついて
「りゅうじに会わないと決めてから、
りゅうじ無しでは生きていけないことがわかった。」
ただそう言った。
【あなた無しでは生きていけない】は、婉曲や、
そのくらいあなたが恋しかったのParaphraseではなくて
文字通りの意味だった。
山下がいなくなると、食事ができなくなる。山下がいなくなると書けなくなる。仕事ができなくなり、何もできなくなる。生きることが止まってしまう。
それは昔から、変わらなかった。
その最後の重荷を、彼に直接隕石のように落とすことだけはこれまで一度もしまいと決めてきた。
そもそも誰かがいないと生きていけないなんて、ただの妄想だ。
でも、今とこれからの人生、彼がわたしにコミットしてくれたことで色々なことが変わった。
何度も倒れ、この先はほんとうに多分、彼なしで私は生きていけないのだろうと思った。
そして、その言葉も、わたしの人生も、彼は受け止めてくれる。
愛しているひとが側にいることは、こんなにも生きている心地がする。
たとえそれが、まだ地獄だとしても
わたしは地獄を生きる。
愛を食べて、地獄を生きるよ。
○
マイ「りゅうじに会わないと決めてから、りゅうじ無しでは生きていけないことがわかった。」
山下「そら大発見だな」
😂
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