3週間。昔から、なにかに「慣れる」までに
ようやく肉体と心と意識のずれた時差が、揃うまでに3週間が目安だった。
なにかを始めて根づくまでに3日、3週間、3ヶ月や3年という。
プールに通い始めたことを山下さんに言ったら、
「じゃあまずは3年続けてみようか」
と言われたので、
「…3ヶ月じゃダメ?」
と思わず聞いた。
わたしが過去命を何度も断ちかけたことを知っているので、彼はわたしに
「未来」を常に匂わせるようになった。
それがたとえ幻でも、嘘でも、そこにある愛が嬉しかった。
3週間経過したハコニワの草たちは、ほとんど綺麗になってきたと同時に、チビがまた生え始めている。
起きれない日が続いて、今日も少しだけ暑くなってから外に出る。
初心を忘れぬように、完璧じゃなくていい、失敗してもいい、たった1本でいいから、草とりをただ毎日続けること。
そのことを思い出して、もしもうまくできなかった日があったとしても、次の日からまた始めればいい。
そう思いながら取りかかると、まるで毎日が、ちゃんと昨日から続いているような感覚がしてくるから不思議だ。
時間や空間、記憶をこの先上手に扱いながら、
つきあっていけることは、わたしの日々の大きなテーマだと思う。
今自分がいつどこにいるか、迷子にならないようにするために始めたような
草とり名人への道は、確かにわたしを昨日から朝につないでくれている。
自分の世話すらままならない自分が、朝と晩に必ず水をあげに出る花たちが、
わたしを生かしていて、命はそんなふうに支えあっているのだと感じた。
今日も、明日を信じながら、過ごせそう。
しかし名人の先輩が教えてくれた、「かわいいやつは残して、かわいくないやつを気ままに抜けばいい」の名言どおり、
よくみると新しくまた生えてきたチビたちはどうも可愛い。
直径3センチくらいの草が、ぽつりぽつりまた生え始めているのをみると、思わず応援したくなった。
わたしもがんばるよ、と。
毎日暑いなあ。今日も37度とかになるみたい。
草とり名人への道は続く。
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